カクレクマノミがイソギンチャクに刺されないのはなぜか?

asahi.comによると

カクレクマノミがイソギンチャクに刺されないのはなぜか。その仕組みの一端を愛媛県の女子高校生2人が解き明かした。5月に米国で開かれる世界最大の学生科学コンテストに出場する。
 解明したのは、愛媛県大洲(おおず)市の県立長浜高校1年で、水族館部に所属する重松夏帆さん(16)と山本美歩さん(16)。
 カクレクマノミはスズメダイ科の熱帯魚で、ハタゴイソギンチャクをすみかにする。一方、イソギンチャクは、餌を取ったり身を守ったりするため体の表面にある触手から強い毒を含む針のような刺胞(しほう)を出す。
 水族館部では千匹以上のカクレクマノミを飼育する。2人は、異なる液体がついた指でイソギンチャクに触れると、刺される指と刺されない指があった先輩の実験をヒントにした。
 海水中の物質が関係するという仮説を立て、海水に多く含まれるマグネシウムイオンとカルシウムイオンの濃度を変えた液に触手を入れる実験を重ねた。その結果、マグネシウムの濃度が海水より低い場合のみ刺胞が出ることが判明。触手の表面にあるたんぱく質がマグネシウム濃度の低い液体に触れるとスイッチが入り、刺胞が飛び出すと推定した。カクレクマノミの体表の粘液に含まれるマグネシウム濃度を調べると、海水より濃く、近縁のスズメダイの10倍だった。
 2人の研究に助言した愛媛大の高田裕美准教授(発生生物学)によると、マグネシウムが刺胞の動きに大きく関わっていることを突き止めたのは初めて。「興味深く発展性のある実験結果。すぐにでも学術論文にできるぐらいのレベルだ」と評価する。 2人は昨年7月から3カ月余り、ほぼ休日返上で実験を続けた。成果を昨年12月に東京であった日本学生科学賞の審査会で発表し、最高の内閣総理大臣賞に。米国で開かれる国際学生科学技術フェアへの出場を決めた。